研究テーマ
公開件数:8件

No.1
研究テーマ名 分解耐性型細胞膜透過性有用タンパク質による細胞分化/細胞機能調節系の開発
概要 従来のタンパク質療法に用いられるタンパク質(インスリン、成長ホルモン、インターフェロン、抗体など)は主に血中のタンパク質でした。しかし、これだけでは汎用性が低く、一部の病態への適用となります。
 これに対し、近年細胞内タンパク質の機能を調節できる細胞膜透過性タンパク質の開発が進んできています。細胞膜透過性タンパク質は細胞膜透過性タグ(MTM, MTD, 9R, 11R, TAT, poly-His等)を融合したタンパク質で、多くの細胞に導入可能です。よって、極めて多くの疾患や病態に活用できるものと考えられます。特に遺伝子プロモーターのメチル化による低発現や先天的な遺伝子変異/欠失、組換えによる機能低下に起因する病態には有効ではないかと考えます。
 近年いくつかの研究グループから細胞膜透過性タンパク質を用いた研究の報告がありますが、発現系構築の難しさや、導入した細胞内での早期分解が問題となるようです。本研究では、細胞膜透過性タンパク質が細胞内に侵入した後の早期分解を防ぐため、当方が発見したスタビロンモチーフを融合し長寿命型膜透過性タンパク質の開発を試みます。
 また、スタビロン融合が有効ではない場合(安定化が見られない、安定化するが本来の機能が低下するなど)にはDegron(分解促進領域;PESTモチーフやリン酸化されると分解が促進されるphospho-degron[セリンやスレオニン残基など]、ユビキチン化されるリジン残基等)の除去や置換を行います。目的とするタンパク質はいろいろありますが、現在は白血病やがん、アレルギー、糖尿病に関わる分子としています。
 また、再生医療に用いるためのiPS細胞誘導法やiPS細胞から分化細胞誘導法の確立も試みます。これらでは、分解耐性型膜透過性タンパク質のみならず化学試薬(食品成分や植物抽出物も含む)も用います。最終目標は遺伝的に安全で簡易な細胞分化制御法の確立です。
研究期間 2010/04/01-現在

No.2
研究テーマ名 タンパク質の安定化、分解耐性を可能にする新規Stabilonモチーフの開発
概要 これまでの研究において、ヒトの転写因子DP-1からタンパク質安定化モチーフスタビロン(395-410a.a.)を見出しました。この領域を別のタンパク質に融合したところ、多くのタンパク質でも安定化可能であることが判明しました。しかし、スタビロンモチーフをタグとして実用化する場合、そのままの配列では内因性のDP-1と重複して検出されてしまいます。そこで本研究では、生体には存在しない全く新規な配列のスタビロンモチーフを開発します(特許出願中)。更に生体への投与が可能なスタビロンモチーフも模索します。また、実用化用スタビロンを選抜後、そのモチーフに対するモノクローナル抗体や溶出用のペプチドを作製します。
尚、このスタビロンモチーフは酸性アミノ酸に富むことから、大腸菌発現系で封入体タンパク質として発現するタンパク質の変性状態(尿素やグアニジン塩酸による)からの透析による巻き戻し時の可溶化度向上にも役立ちます(一般的に塩基性の強いタンパク質が再凝集し易いため)。
研究期間 2014/01/05-現在

No.3
研究テーマ名 植物における細胞分化制御機構の研究;主に花成に関与する分子機構の解明
概要 数十年から100年に一度しか開花しない竹の開花メカニズムを追求する
開花誘導能の検証にサツマイモを用いる
従来のFTタンパク質による開花メカニズムが正しいかを検証する
細胞膜透過性FT, FDタンパク質(組換え体)を作製し機能を確認する
短日植物(主にアメリカセンダングサ、オナモミ)の花芽形成に関して研究する
植物の栄養成長と生殖成長期を意識し、生殖系細胞の分化、存在箇所や発生条件、その周辺環境の細胞(ニッチェ)についてメカニズムを追求する
植物個体の透明化と免疫染色、蛍光タンパク質技術を利用する
植物のゲノム情報から花や種子がどのように進化したのかを探る
植物タンパク質や成分が動物細胞の細胞分化や機能制御に役立てないかを考える
研究期間 2015/11/01-現在

No.4
研究テーマ名 DP-1 Stabilonによるタンパク質安定化機構の解析
概要 以前の研究において、ヒトの転写因子DP-1(E2Fとヘテロダイマーを形成し細胞周期をG1期からS期へと移行させる)のC末端側16アミノ酸にDP-1タンパク質を安定化させるモチーフを発見し、スタビロンと名付けました。このモチーフはEDDEEDDDFNENDEDDという配列であり、酸性アミノ酸(E;グルタミン酸、D;アスパラギン酸)を多く含みます。このモチーフが他のタンパク質に対しても同様に働くかを試したところ、多くのタンパク質を安定化させました。そこで現在、このモチーフをタンパク質共通の安定化モチーフとして実用化することを目指しています。また、どのようなメカニズムでこの安定化が可能になっているのかについても調べています。現在、ショットガンLC-MS/MSにより、スタビロン融合タンパク質の結合因子を網羅的に解析し、その中から、安定化に関与している因子の同定を試みています。
研究期間 2009-現在

No.5
研究テーマ名 核内レチノイン酸受容体RARαの分解機構の解明と分解耐性の獲得に関する研究
概要 急性前骨髄球性白血病(APL)では15番および17番染色体で相互転座が起きている。この部位に存在する、核内レチノイン酸受容体RARαとPML遺伝子は融合タンパク質となるため、機能低下し、成熟白血球への分化が阻害される。このような白血病ではRARαのリガンドである全トランス型レチノイン酸(ATRA)投与で改善がみられる。しかし、ATRA投与は、生体内の代謝の変化などで効果を発揮しなくなる場合がある(耐性)。そこで、私は受容体側の機能改善を目指し、細胞膜透過性正常型RARαを大腸菌等で大量産生し、白血病細胞へ導入することで本来のレチノイン酸シグナルを増強、成熟白血球の分化誘導を改善できないかと考えた。しかし、これまでに作製した細胞膜透過性正常型RARαでは、ある程度の改善はみられたが、予想より低効率であった。この理由は明確にはなっていないが、現時点では、細胞膜透過性RARαの細胞内への導入量が少なく早期に分解されるためではないかと推測している。そこで、現在、分解耐性型のRARαを得ることに取り組んでいる。具体的には、当研究室で見出したスタビロンタグ(転写因子DP-1のC末端側16アミノ酸)の融合や、RARαの翻訳後修飾が起きるアミノ酸の置換を試みている。
研究期間 2013/04/01-現在

No.6
研究テーマ名 HCaRG/COMMD5の機能解析と発現系の開発
概要 細胞膜透過性HCaRG/COMMD5の発現系の確立
HCaRG/COMMD5の相互作用因子の同定(ショットガンLC-MS/MS解析)
研究期間 2017/07/06-現在

No.7
研究テーマ名 細胞膜透過性分解促進抗体による悪玉タンパク質除去法の開発
概要 生体内には蓄積したり存在すると生命が危機にさらされるような言わば”悪玉タンパク質”が存在します。本研究ではこれらの悪玉を生体内からなくす方法の開発を試みます。近年開発が進んでいる抗体医薬は、主に受容体やリガンドとなるタンパク質やペプチドと結合し、それらのシグナル伝達のブロックを目的としています。これは一部の疾患には適応しますが、蓄積するような悪玉タンパク質では改善できないことがあります。
本研究では、抗体の可変領域と細胞膜透過性ペプチドを融合し、リソソーム、オートファジーを利用した悪玉タンパク質除去法の確立を目指します。また、プロテアソーム分解を利用した除去法も開発を目指します。
研究期間 2018/09/01-現在

No.8
研究テーマ名 日焼けによるがん予防法の確立
概要 近年、いくつかのがんでは日焼けが予防に有効であるという疫学的な報告がなされています。しかし、日焼けがどうしてがん予防に有効なのか、その分子メカニズムは不明なままです。一部の研究者はビタミンDの皮膚での合成や、これに伴う免疫系の活性化を提唱していますが、詳しいメカニズムは判明していません。
本研究では、ビタミンDやそのシグナル伝達系、標的遺伝子、標的細胞がどの程度がん予防に効いているのかを調べると同時に、遺伝子修復酵素群の活性変動にも着目し研究を進めたいと考えています。
長寿命化が進み、2人に1人がかんになってしまう時代です。予防法の確立が重要だと考えます。日照は誰でもが比較的容易に受けることができることから、非常にいい予防法になると思います。但し、どの程度の日焼けが必要なのか、どの時期に重要なのかの指標がはっきりません。本研究ではこのような視点から研究を進めたいと思いますが、本研究機関が臨床系ではないことから、これらの研究をされているいくつかの研究機関の研究者の方々と共同で研究を進めたいと考えています。
研究期間 2018/09/21-現在